2008.10.31
「いらっしゃいませー!どうぞみていってくださぁい!」
朝から大きな声が響く。
ここはとある大型スーパーのエントランス前。
スーパーの開店時間になると、いつもこの声が聞こえる。
私は、その声に惹かれてちょっと覗いてみた。
そこには、数多くの花が並べられていた。
「お兄さん、いらっしゃい!お花のことだったら、私に何でも聞いてちょうだい!」
気さくに話しかけてくる女性。
すぐに、毎朝の声の主だと分かった。
「いつも大きな声出されてますよね。その声に惹かれて来ちゃいましたよ。」
「あら!やだ恥ずかしいわね!どう?ステキなお花でしょ?」
「えぇ。こんなにあるとお花畑に来た気分ですよ。ん?これきれいですね。何ていう花ですか?」
「これはね、ブローディアって言うの。茎が少なくても、たくさん花を咲かせるのよ。花言葉はね、「嬉しい便り」よ。買ってくれたら何かいい便りが届くかもね!」
「またまた・・・商売上手なんだから!」
その時、急にポツポツと雨が降り始めた。
話に夢中で、気付かなかったが、空はいつの間にか暗い雲に覆われていた。
「お兄さん!!ほんとごめんなさい!お花やダンボールを雨に濡らしたら商売できないのよ!急いで片付けなきゃいけないから、後でまた来てちょうだい!」
そういって女性は、必死に花を片付けて始めた。
話どころではなくなったので、僕もスーパーの中へと足を向けた。
すると、奥からスーツを着た男性が現れた。
後で分かったのだが、大型スーパーの方で、女性の上司だった。
「ついにこの瞬間が来ましたね!片付けなくても大丈夫です!先日、これを購入したのです!」
そう言って奥から出してきたのは、そう・・・
アメリカンテントの小次郎くんだった。
「見ててください!ほら!」
そういうと、ジャバラが伸び切って、あっという間に売り場にテントが現れたのだ。
「何て嬉しいんでしょう・・・今までは、片付けては全て拭き取ってきたのに・・・。これなら雨が降っても、そのままここで売ることができるじゃない!」
雨の中、テントの中で二人は大はしゃぎしていた。
ブローディア、「嬉しい便り」・・・か。
そして僕はブローディアを購入し、家路に着いた。
雨上がりの空が、また一段とキレイだった。
※このお話は、実話を元に筆者の想像を多大に加味して書かれています。
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